エイヤフャトラ氷河とミーダールス氷河の間で3月21日から始まったフィムヴォルズハウルスの噴火を見に行ってきました。今回の噴火は、アイスランドでは典型的な割れ目噴火です。
(ここは大変有名なハイキングルートで、わたしも行ったことがありますが、この噴火で従来のハイキングルートは一部溶岩に埋まってしまいました。次にここを歩くときは、まったく違う風景になっていることでしょう!)

噴火をどこから見るか、どこまで近づけるかは、乗る車輛にとって、大きく変わって来ます。今回は大きく二通りに分けて、お話ししましょう。

 

① 一般の乗用車やシティジープ、またはバスで行くルート(3月29日)

一般の車で近付くには限界があり、また安全第一を考慮して、かなり距離のあるところからの観察でした。しかしながら、道中のアイスランドの自然はダイナミックです。
まず、氷河の溶け水の流れる川を渡らければなりません。

川を流れる水の深さを知るには、前に行く車がどのくらい水につかっているかで目測するしかありません。そして、一番安全なのは、その同じルートを辿ること、また流れに逆らわず、流れに助けてもらえるように斜めに川上から川下へ渡っていくことです。道中、このような川を幾つも越えて行くことになりま した。

アイスランドでは噴火は珍しいことではないとはいえ、比較的安全な噴火を間近に見たいという想いはアイスランド人も同じ。週末ということと、天気の良さも手伝ってか、たくさんの車が見物に出ていました。ニュースによると、噴火当日から本日まで、観光客を含めおよそ1000人がすでに足を運んだそうです。

そして道中の氷河の舌端!今回の噴火はソールスマルク付近で起ったのですが、ここは3つの氷河に囲まれた風光明媚な場所です。写真は261号線から見たエイヤファトラ氷河の一部です。

ガタガタ道を30分くらい走ったころに、新しく生まれた山の一部が見えてきました。地球の内部のマグマが噴き出されてできた、真黒な溶岩です。できたてのほかほかですね。

そしてその溶岩の噴出口の周りにたまった溶岩の高さは28日の時点で150mを越えているとのことでしたが、ご覧ください。さらに高く上がった噴火です。燃えるように熱い溶岩は摂氏1000度を超えています。わたしには、大地が血を流しているように見えました。

見終わった帰り道、18時過ぎからどんどん車がやって来ます。

噴火の美しさは夜のほうが、きれいに華やかに見えるのですね。再度ガタガタ道をずっと走って帰る道すがら、夕食を近くの村で済ませ、行きと同じようにいくつかの川を渡り、道なき道を辿り、噴火の見える場所にやって来ました。

まさしく溶岩が燃えています。暗闇の中に浮かぶ巨大な炎は、とても幻想的でした。

② 氷河上を走れる装備のジープの場合(4月1日)

車高が高く、また大きなタイヤのジープでないと、こちらのミーダールス氷河の一部のソールヘイマ氷河側からのルートは走行不可能です。氷河に上る前に、運転手さんがタイヤから空気を抜きます。そうすることで、タイヤは雪との接触面が大きくなり、車が滑るのを防ぎます。

そして雪上を走って行きます。
氷河のジープツアーでは通常何台かが一緒に走りますが、それは例えばクレバスに落ちたり、川で動けなくなったり、または悪天候で遭難した場合などに、他のジープがトラブルのあったジープを手助けできるようにするためです。

マグマが川のように流れているのがよく見えます。150~200mの距離でも、その熱ががんがん伝わってきます。

熾きのように燃えているマグマの川の美しさ!周りの黒い部分は、冷えたマグマです。このマグマの川の流れている斜面と観察している人々が立っている間には、谷があります。ここには往々にして、無臭の有毒ガスが溜まりますので、非常に危険です。どこから観測しているか、また風の向きがどうかも、よく事前に知っておく必要があります。

火口近くをヘリコプターが飛んでいきます。きっと素晴らしい眺めなのでしょうが、少し見ているのが怖いですね…。

新しくできた山の全体像が分かるでしょうか?

左端にいる人たちの大きさと比べてみてください。これを見ると、どちら側に溶岩がたくさん噴き出されて壁のようになっているか、また溶岩の川が流れているか、推測できますね。人の立っているところにポールが見えますが、これはハイキングコースの目印でした。道は完全に分断されています。

4月1日に新たに噴火した部分はこちらです。

これで割れ目噴火の長さが今までよりも300mほど広がったとのことでした。また当日、この新しい噴火を見に来ていた人たちに警察が下山するよう促したそうです。

観測を終えて山を下りたのは21時ごろでしたが、この日氷河上の気温はマイナス25度まで下がったそうです!(写真と協力:Y.Tordarson氏)

アイスランド気象庁の写真を見ていただくと、噴火の全体像が分かります。見比べてください。<気象庁発表の写真

TVのニュースでは噴火の部分だけが大きく映し出されるので、大変大きな火山が噴火しているように思われますが、実際現場に足を運んでみると意外なことに、それは巨大なパノラマの中の、ほんの一部の火山の噴火なのです。今回の噴火がこんなに小さいものなら、その周りの巨大な山々の造山活動は、悠久の年月をかけて、さらに壮大なスケールで起ったものなのだと想像できます。その地球の活動のダイナミズムの前では、ただただ畏敬を感じ、その神聖さと不思議さに頭を垂れるほかありません。


(2010年4月5日)

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