新型ウイルスを許容範囲に封じ込めることに成功したヨーロッパでは、各国が615日に向けて国境を開く方針で動き出しました。まずはシェンゲン協定を結んでいるヨーロッパ内での人の動きとその後の感染の拡がりをモニタリングしながら、徐々に北アメリカやアジア各国からの観光客の受け入れに移行していくものと思われます。

今後のヨーロッパと日本の状況に左右されますものの、弊社も今後晩夏に向けて、お客さまを受け入れる態勢を整えていきたいと思います。コロナ後の『ニューノーマル』を念頭に、現地の様子や対応など、アイスランドからの旬の情報をお伝えしていきたいと思います。

上の写真は、各個人の健康状態と置かれた状況によって、してもいいこと、いけないことを分かりやすく表示したポスターです。各地区の保健所に貼られています。

政府の統計によりますと、アイスランドでは6月4日現在、これまでに国内の1806人が新型ウイルスに感染し、そのうち1794人が回復、新規感染者は5月29日に1名、全体で死者は10名、国民の約17%がすでにPRC検査済みとなっています。アイスランド政府の感染対策が功をなし、国民一同ほっと胸をなで下ろした今日この頃。生活のいろいろな場面で、日常が少しずつ戻りつつあるのが感じられます。

アイスランドの感染率が、ヨーロッパで感染の始まった当初高かったのは、3月中旬から国内で徹底的に行われた検査率の高さによるためだったかと思われます。対国民数の統計では、それが裏目に出てしまったものの、政府は約36万5千という国民数を逆手に取り、速攻に隔離対策を取りました。

アイスランドからの観光客の多い、オーストリアのスキーリゾート地・イシュグル。

オーストリアとイタリアのスキーリゾートに滞在していたアイスランド人がウイルスをアイスランドに持ち帰ったことが判明した途端、感染対策本部はこの地域に滞在していた帰国者に連絡し、症状がなくても2週間は自宅で自己隔離することを要請しました。このグループはアイスランドでの初めての感染クラスターでした。
その後は、どこからであろうと、海外からの帰国者は全員自宅隔離させる方針が取られました。3月6日には、家族や親近者でも看護施設や病院の訪問が禁止されます。2月28日にアイスランドで初めての感染者が確認され、その後50人弱に感染していることが判明した直後に、政府が行った電光石火の処置です。

その後は2次感染で、新型ウイルスは国内に広がっていきました。感染者は首都レイキャヴィークエリアに一番多く、その後地方の村にも感染者は増えていきました。しかし幸いなことに、首都エリア以外の地方の村は、もともとお互いに離れているので、患者と接触のあった村の人たちは自宅で隔離、症状のない人たちも必要のない外出や人との接触を避けることによって、感染の封じ込めに成功していきました。

アイスランド感染対策タクスフォースのメンバー 国民保護・防災部門のヴィージル・レイ二スソン臨時捜査官

アイスランドは、緊急時には国民の総意がまとまりやすい国です。政府は情報をオープンにすることによって、国民の賛同を得ると同時に、国民も情報に基づき政府の決定する政策を理解して、その施行に協力していきます。人間の力が及ばない、壮大な自然に囲まれたこの国では、島にいるみんなが力を合わせない限り、自然災害の中で生き延びることはできません。

新型ウイルスがアイスランドで拡がり始めた31週目、こんなことがありました。326日の対ルーマニア・ヨーロッパ選手権予選に出場予定のアイスランド選手2名の帰国問題がメディアで取り上げられました。この選手たちは、北イタリアの感染危険地域にあるサッカークラブに所属しているために、帰国後の2週間の自宅隔離ルールを適用した場合、対抗試合に出られない恐れがあったのです。
しかし、その議論を感染者追跡を担当する国民保護・防災部門のヴィージル・レイ二スソン臨時捜査官は即時終結させました。『感染危険地域に滞在したアイスランド人は、全員2週間自宅で自己隔離がルールだからね。例外はない。試合に出たかったら、早くとアイスランドに帰ってきた方がいい。』とさらりと言ってのけたのです。彼の言葉が重きをなしたのは、現在の職務に加え、ヴィージルがアイスランド・サッカー協会のセキュリティー管理責任者であることにもよりました。公私を交えない彼の公平な判断は、国民に幅広く支持されたことは言うまでもありません。

アイスランドの国の基本理念は、ひとりひとりが社会の中で平等であること。有名人でも、国を挙げて熱狂するサッカーの代表選手でも、適応するルールはみな同じ。その姿勢には頭が下がる思いがしました。


(2020年6月 J. Sakamoto)

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