このたびの東北地方太平洋沖地震と大津波による甚大な被害におきましては、信じがたい数の尊い命が犠牲になり、私たちも非常に心を痛めております。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。また、被災された方々の安全と被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

日本から遠く離れた地球の北の果て、アイスランド。島国である日本とアイスランドの両国には火山、地震など地質学的にたくさんの共通点があります。ここアイスランドからはじまる2枚の地盤プレートが、ぐるりと地球を周り、反対側に位置する日本で衝突します。アイスランドでも火山や地震などの自然災害の脅威と共に人々は生活しています。1973年には、アイスランドの南に位置するヘイマエイ島の火山が噴火し、5500人の住民が緊急避難するという事態になりました。また近年では、2008年のM.6.2の大地震、2010年のエイヤフィヤトラヨクトール氷河下噴火で世界中の航空路が麻痺してしまったことは記憶に新しいところでしょう。このようなことから、今回の日本での大地震は日本人にだけではなく、アイスランドの住人にとっても大変辛いものでした。

緑色で示されたユーラシアプレートが、日本の西半分からユーラシア大陸を含めてアイスランドの東半分まで繋がっているのがよくわかる。そしてアイスランドの西半分と日本の東半分は茶色で示された北米プレートを共有している。

(画像出典: Wikipedia)

地震発生時、9時間の時差があるアイスランドは早朝でした。こちらの国営テレビはたいてい午後から放映されますが、その日ばかりは朝から通しで震災 の様子を放送していました。ニュースを聞き及んだアイスランドの友人や家族から、日本の家族や友人の安否を確認する電話が何本もかかってきました。テレビ画面に映るあまりの惨状にショックを受けたのは、日本人だけではなかったのです。地震という自然災害を身近に経験しているアイスランドの人達は、日本の被 害に大きな同情を寄せてくれました。

日本が大変なことになっているということで、現地に住む日本人と、日本と何らかの関係があるアイスランド人たちが中心になって、何らかの形で日本を支援をしようということが決まりました。

まずは首都レイキャヴィークと隣町コーパヴォーグルにある2件のショッピングモールで、在住日本人とアイスランド人が交代でアイスランド赤十字社の支援の下、募金活動を数日間行いました。アイスランドでもこの地震に関しては、発生直後に詳しく報道されていたためか、多くの方々が募金に協力してくださ いました。

「がんばれニッポン」のイベント会場では子どもたちも募金を募りました。会場を訪れた人たちには緑茶がふるまわれました。

続けてレイキャヴィークの中心部にて、日本アイスランド協会とアイスランド赤十字社、そして多くの在住日本人による「がんばれニッポン」支援イベントが開かれました。アイスランドでは日本文化は非常に人気があり、関心を持っておられる親日家の方々もたくさんいます。イベントでの復興支援も、募金とい う形でみなさん積極的に援助してくださいました。募金いただいた方々には御礼として「がんばれニッポン」のメッセージをつけてお渡ししました。更にアイス ランドから日本へ復興の願いを届けるため為、イベントに参加者のビデオメッセージを作成したり、平和への願いを短冊に筆で思い思いに書いていただきまし た。

また、あるミネラルウォーター製造企業からはペットボトル入りミネラルウォーターが大量に寄贈されました。この水は後日被災地に援助物資として輸出されることになっています。

イベントに訪れた人たちが思い思いに日本へのメッセージを短冊とビデオに残してくれました。

その後の活動としては、アイスランド大学の日本語学科や日本に留学経験のある学生たちが集ってアイスランド大学やレイキャヴィーク大学構内でさらなる募金活動を行い、こちらでもたくさんの募金が集められました。また、アイスランド大学自治会主催のフリーマーケット会場でも、その一角を提供してもらい、日本人の学生が中心になってチャリティーバザーを開きました。

また教会を中心に、アイスランドの羊毛を使った、手編みの手袋や靴下を送ろうという動きも起きています。アイスランドの郵便局が、輸送コストを負担すると申し出てくれたのも、大変有り難いことでした。

バザーでは、たくさんの人たちがお釣りを募金にしてくれました。

アイスランドのメディアも、今回の震災に大変大きな関心を示しました。新聞やラジオだけでなく、アイスランドで人気のTVトーク番組の幾つかに数人 の日本人が招待され、日本の様子を紹介する機会が与えられました。 時間が経てば、海外では原発事故のニュースを除き、地震や津波で生活を破壊された人々の様子は伝わりにくくなっていくことでしょう。悲しいことに自然災害 のニュースは往々にして、日々の新たなニュースの中で風化してしまうものです。しかし、実際の震災後の復興は、被災地では何年もの長い年月がかかります。 特に心や体に傷を負った方々の痛みが癒えるには、想像を超える時間がかかることでしょう。被災された方々は、一から生活を立て直すという大変な課題にこれ から取り組んでいくのです。それを遠く離れたアイスランドから、何らかの形で支援し続けるできたらと切に願わずにはおりません。

なお、一連の募金活動で集まった義援金の内容は以下のとおりです。

<2011年3月22日現在>

  • アイスランド政府より 1千万クローナ(約750万円)
  • 赤十字への電話および口座経由への募金 約650万クローナ(約500万円)


<2011年4月5日現在>

  • 大学での募金箱への募金 約23万クローナ(約17万円)
  • チャリティーバザーでの収益および募金合計 約9万クローナ(約7万円)



(2011年4月)

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